調査概要
本調査は、従業員規模1名から49名の中小企業経営者800人を対象に、ストレスチェック制度の認知状況、実施状況、および今後必要とされる支援について、ウェブアンケート形式で実施されました。調査期間は2026年7月9日から2026年7月11日です。
主な調査結果
メンタルヘルスの経営への影響認識と制度理解のギャップ
従業員のメンタルヘルスが経営や業務に与える影響について、「大いに影響すると思う」が36.0%、「ある程度影響すると思う」が43.4%となり、合計で79.4%の企業が影響を認識していることが示されました。

一方、従業員のメンタルヘルス不調の予防を目的としたストレスチェック制度(従業員の心理的な負担の程度を把握するための検査)については、「知っており、他の人に説明できる」が13.4%、「知っているが、説明できるほどではない」が42.0%で、認知している企業は55.4%にとどまっています。メンタルヘルスの重要性は認識されているものの、具体的な制度内容や実施方法への理解はまだ十分に進んでいない企業が多いことがうかがえます。

義務化認知度と実施率の現状
2028年4月から50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化される(法令によって行わなければならないと定められること)ことの認知状況は、「知っている」が33.3%、「知らない」が66.8%となり、法改正を認知している企業は約3割にとどまりました。

また、ストレスチェックを実施している企業は11.9%にとどまり、「必要だと思うが実施できていない」が42.0%でした。一方で、「実施しておらず現時点では実施する予定もない」企業が46.1%を占めており、義務化を前に制度理解と実施体制の整備が喫緊の課題であることが示されています。


ストレスチェック実施企業が感じる課題
ストレスチェックを実施している企業(95社)が感じる課題では、「特に課題はない」が32.6%で最多でしたが、約7割の企業は何らかの課題を抱えています。「実施・運用に手間や工数がかかる」(23.2%)、「結果の分析・活用方法が分からない」(22.1%)、「ストレスチェック制度について十分に理解できていない」(21.1%)が上位に挙げられました。これは、中小企業が制度を使いこなすためのリソースや知識が不足している実態を示唆しています。


集団分析の実施状況と対応
ストレスチェックを実施している企業のうち、集団分析(ストレスチェック結果を部署や職場ごとに匿名で集計・分析し、職場全体のストレス傾向や課題を可視化する手法)を実施している企業は9割以上にのぼります。実施主体としては「自社で実施している」が49.5%で最多でした。集団分析の結果を踏まえた対応では、「職場環境の改善」が57.5%、「相談窓口・面接指導の案内」が43.7%と上位を占め、多くの企業が分析結果を具体的な取り組みに繋げていることが明らかになりました。

ストレスチェックを実施できていない理由
ストレスチェックを実施できていない企業(336社)の主な理由としては、「対応できる人材がいないから」(38.1%)、「実施・運用方法が分からないから」(36.9%)、「時間的な余裕がないから」(28.3%)が挙げられました。人材不足に加え、運用に関するノウハウの不足が実施への大きな障壁となっているようです。

必要な支援
健康経営施策やストレスチェック推進に向けて必要な支援としては、「ストレスチェック結果の分析・可視化、及び活用法の支援」が40.0%で最も多く挙げられました。その他、「健康経営の改善施策の提案」(29.5%)、「専門家への相談機会」(25.3%)なども求められています。これは、結果の分析だけでなく、専門的な知見に基づいた具体的な改善策や教育機会への支援が重視されていることを示しています。


健康経営強化の意向
今後の健康経営を強化したいと考える企業は半数を占めており、従業員の健康管理や健康経営に対して前向きな姿勢が見られます。しかし、ストレスチェック実施企業に限定すると、「積極的に強化したい」と回答した企業の割合が減少する傾向が見られました。これは、ストレスチェックを実施しても、集団分析の結果を次の施策に活かせない、あるいは活用の仕方が分からないケースがあることを示唆しているかもしれません。

有識者コメント
フォーバル GDXリサーチ研究所所長 平良 学氏
平良氏は、約8割の企業が従業員のメンタルヘルスを経営に影響すると認識しているにもかかわらず、義務化の認知度が33.3%、実施率が11.9%にとどまっている現状に課題があると指摘しています。ストレスチェックは単なる法対応ではなく、職場環境改善や健康経営に繋がる重要な取り組みであり、義務化を前向きな投資と捉え、結果の分析・活用まで含めた支援が重要であると述べています。

株式会社タニタヘルスリンク 代表取締役社長 土志田 敬祐氏
土志田氏は、中小企業がメンタルヘルスの重要性を認識しつつも、義務化への対応や結果の分析・活用に高いハードルを感じている実態を強調しています。人材や時間が不足しがちな中小企業において、義務化を「形式的な対応」で終わらせず、「前向きな投資」として捉えることの重要性を訴え、活力ある日本の未来を共に創り上げていきたいとの見解を示しています。

まとめ
今回の調査結果は、2028年のストレスチェック義務化に向けて、多くの中小企業が制度の認知、理解、そして具体的な実施・運用において課題を抱えていることを明確に示しています。義務化を機に、中小企業が従業員のメンタルヘルスケアを推進し、健康経営に繋げるためには、制度理解の促進、運用体制の整備、そして結果分析・活用に関する具体的な支援が不可欠であると言えるでしょう。
詳しくは、以下の調査レポートをご参照ください。
研究レポート「2028年ストレスチェック義務化」に向けた中小企業の対応実態
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