調査背景
日本では高齢化の進行に伴い、皮膚がんの罹患数が増加傾向にあります。特に日光角化症は70代以上の高齢者に多く見られ、その一部は皮膚がんへ進行する可能性があります。高齢者本人が皮膚の変化を放置しがちな現状に対し、離れて暮らす家族が帰省時に異変に気づくケースも少なくありません。お盆の帰省は、普段会えない親の健康状態を確認できる貴重な機会です。本調査では、帰省時の皮膚チェック意識や、日光角化症・皮膚がんのサインに対する認知度を明らかにし、早期発見・早期受診の重要性を啓発することを目指しています。
調査概要
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調査対象: 60代以上の親を持つ全国の30〜50代男女
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調査期間: 2026年7月6日〜7月15日
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調査方法: インターネット調査
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調査対象人数: 300名
調査結果
帰省時に親の肌を意識的にチェックする人はわずか12.3%
帰省時に親の肌(シミ・できものなど)を意識的にチェックしている人は12.3%にとどまり、約6割が「ほとんど/まったく意識していない」と回答しました。高齢者の皮膚がんや日光角化症は早期発見が重要ですが、家族による気づきの機会が十分に活かされていない実態が明らかになりました。

親のシミの増加・拡大を感じる人は約8割、受診を促したのはわずか9.3%
約8割(78.7%)が親のシミの増加や拡大を感じている一方で、受診を促した人はわずか9.3%でした。「年齢的なもの」と自己判断し、放置されているケースが多いことが推測されます。シミの変化は日光角化症や皮膚がんの可能性もあるため、専門医の診察が重要です。

日光角化症の認知度は低く、皮膚がんの前段階との認識は15.0%
「日光角化症」という皮膚疾患を「名前も内容も知っている」と回答した人はわずか8.7%にとどまり、7割が「まったく知らない」と回答しました。日光角化症は皮膚がんの前段階(前がん病変)とされる重要な病変ですが、一般への認知が進んでいないことが早期発見の障壁となる可能性があります。

皮膚がんの危険サイン、「ザラザラした質感」の認知度は15.0%と低水準
皮膚がんや日光角化症を疑うべきサインとして、「急に大きくなった」は56.3%と比較的認知されていますが、日光角化症の特徴的サインである「ザラザラ・カサカサした質感」の認知度は15.0%と低い結果でした。日光角化症は見た目がシミに似ているため、質感の違いを知ることが早期発見のカギとなります。

親に皮膚科受診を勧めた経験がある人は9.3%、「言い出しにくい」が34.7%
実際に親に皮膚科受診を勧めた経験がある人は9.3%にとどまり、「気になるが言い出しにくい」という心理的障壁を感じている人が34.7%いることがわかりました。帰省時の自然な会話の中で、健康チェックの一環として肌の状態を話題にすることが、早期受診への第一歩となりそうです。

用語解説
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日光角化症(にっこうかくかしょう)
長年の紫外線曝露によって皮膚の表皮細胞に異常が生じた状態です。皮膚がんの前段階(前がん病変)とされ、放置すると約10〜20%が有棘細胞がん(ゆうきょくさいぼうがん)に進行する可能性があります。主に顔・頭部・手の甲など日光に当たりやすい部位に、赤みを帯びたザラザラ・カサカサした病変として現れます。 -
有棘細胞がん(ゆうきょくさいぼうがん)
皮膚の表皮を構成する有棘細胞から発生する皮膚がんです。日光角化症やボーエン病から進行することが多く、高齢者の日光曝露部位に好発します。早期発見・早期治療により予後は良好ですが、進行すると転移の可能性があります。 -
ABCDE基準
皮膚がん(特にメラノーマ)のセルフチェックに用いられる国際的な指標です。A=Asymmetry(非対称)、B=Border(境界不整)、C=Color(色むら)、D=Diameter(直径6mm以上)、E=Evolving(変化)の5項目で評価し、該当項目が多いほど悪性の可能性が高まります。
シミ・日光角化症・皮膚がんの見分け方比較
一般的な目安として、以下の点が挙げられます。気になる症状がある場合は、自己判断せずに皮膚科を受診してください。
| チェック項目 | 通常のシミ(老人性色素斑) | 日光角化症 | 皮膚がん(有棘細胞がん等) |
|---|---|---|---|
| 表面の質感 | 平坦・滑らか | ザラザラ・カサカサ | 硬い・潰瘍化することも |
| 色調 | 均一な茶色 | 赤み〜淡い茶色 | 不均一・黒色が混在することも |
| 境界線 | 明瞭 | やや不明瞭 | 不整・ギザギザ |
| 大きさの変化 | ゆっくり/変化なし | ゆっくり拡大 | 比較的速く拡大 |
| 自覚症状 | なし | 軽い痒み・ヒリヒリ | 出血・痛み・潰瘍 |
| 緊急性 | 経過観察可 | 早めの受診推奨 | 速やかな受診必要 |
医師コメント:早期発見のための「気づき」の重要性
アイシークリニックの髙桑康太医師は、皮膚科医としての15年以上の臨床経験から、高齢者の皮膚がんや日光角化症において家族の「気づき」が早期発見・早期治療につながる重要な要素であると述べています。特に帰省は、普段会えない親の肌の状態を確認できる貴重な機会であり、活用が推奨されます。
日光角化症は、長年の紫外線曝露により皮膚の細胞に異常が生じた状態で、皮膚がんの前段階(前がん病変)とされています。農業や屋外作業に従事してきた高齢者、色白の方に多く見られる傾向があります。一般的なシミ(老人性色素斑)は表面が平坦で滑らかですが、日光角化症は赤みを帯び、表面がザラザラ・カサカサしているのが特徴です。この質感の違いが重要な鑑別ポイントとなります。
皮膚がんのセルフチェックには、国際的に用いられる「ABCDE基準」が参考になります。A=非対称、B=境界不整、C=色むら、D=直径6mm以上、E=変化の5項目を確認し、該当する項目が多い場合は早めの受診が勧められます。
高齢者ご本人は「年だから仕方ない」と皮膚の変化を軽視しがちですが、日光角化症は放置すると約10〜20%が有棘細胞がんに進行するとされています。帰省時に親の顔や手の甲、頭部(薄毛の方は特に)をさりげなく観察し、気になる変化があれば皮膚科受診を促すことが重要です。
日本皮膚科学会の「皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン」では、日光角化症は皮膚がんの前駆病変として位置づけられており、早期治療の重要性が示されています。家族に指摘されて受診し、早期発見に至ったケースは少なくないとのことです。
親の肌をチェックする際のポイント(ABCDE基準)
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A(非対称): シミやできものが左右非対称ではないか
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B(境界): 境界線がギザギザ・不明瞭ではないか
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C(色): 色むらや黒い部分が混在していないか
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D(直径): 直径6mm以上(鉛筆の消しゴム程度)ではないか
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E(変化): 大きさ・色・形が最近変化していないか
日光角化症を疑う特徴的なサイン
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表面がザラザラ・カサカサしている(通常のシミは平坦で滑らか)
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赤みを帯びている・ピンク色をしている
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顔・頭部・手の甲など日光に当たりやすい部位にある
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保湿剤を塗っても改善しない・繰り返しかさぶたができる
受診を勧める際のコミュニケーションのコツ
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「肌の調子どう?」など健康全般の話題から自然に切り出す
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「最近皮膚がんが増えているらしいから念のため」と一般論として伝える
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「一緒に行こうか」と同行を申し出ることで心理的ハードルを下げる
放置のリスクと受診の目安
放置のリスク
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日光角化症を放置すると、約10〜20%が有棘細胞がんに進行する可能性があります。
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皮膚がんが進行すると、広範囲の切除が必要となり、傷跡が大きくなることがあります。
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さらに進行すると、リンパ節や他の臓器への転移のリスクがあります。
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高齢者は本人が変化に気づきにくく、発見が遅れやすい傾向があります。
こんな場合は受診の目安
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シミが急に大きくなった、または形・色が変化した場合
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シミの表面がザラザラ・カサカサして、保湿しても改善しない場合
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シミやできものから出血がある、またはかさぶたが繰り返しできる場合
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シミの境界線がギザギザしている、または色が不均一な場合
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以前はなかったシミやできものが新たに現れた場合
まとめ
本調査の結果、帰省時に親の肌を意識的にチェックしている人は12.3%にとどまり、約8割が親のシミの増加・拡大を感じながらも、実際に受診を促した人はわずか9.3%という実態が明らかになりました。また、皮膚がんの前段階である日光角化症の認知度は低く、特徴的なサインである「ザラザラ・カサカサした質感」を知っている人は15.0%にとどまりました。高齢者の皮膚がんは早期発見により良好な予後が期待できるため、お盆の帰省は親の肌の変化に気づく貴重な機会として活用することが望まれます。気になる症状がある場合は、早めに医療機関・専門家に相談することをお勧めします。
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