日本の体外診断(IVD)市場の展望:2034年までに63億米ドルへ
日本の体外診断(IVD)市場は、今後も着実な成長が見込まれています。IMARC Groupの最新レポートによると、2025年に51億米ドル規模であった市場は、2034年までに63億米ドルに達し、2026年から2034年の期間において年平均成長率(CAGR)2.30%を示すと予測されています。
市場成長の主要な要因
日本の体外診断市場の成長は、主に以下の要因によって推進されています。
高齢化と医療ニーズの増加
急速な高齢化が進む日本では、糖尿病、心血管疾患、がんといった加齢に伴う疾患が増加しており、これに伴い、包括的かつ日常的な医療検査のニーズが高まっています。これらの疾患の診断と管理のために、体外診断検査の需要は継続的に拡大しています。
技術革新と個別化医療の進展
分子診断、ポイントオブケア検査(PoC:診療現場や患者の近くで行われる検査)、自動化といった技術革新が、体外診断検査の精度、スピード、アクセス性を向上させています。特に、ビッグデータと人工知能(AI)の統合は、分析能力を高め、より個別化された診断ケアの実現に貢献しています。

AIによる医療画像解析の一例。胸部X線におけるCTR推定や骨信号減弱処理などが示されています。
2025年2月には、ロシュが日本で「シーケンス・バイ・エクスパンション」技術を導入し、6時間未満で全ゲノム解析を可能にしたと報じられました。これは、包括的なゲノム診断検査にかかる時間を大幅に短縮するものです。
また、AIを活用した診断分析は、特に分子検査やゲノム検査において、複雑な検査結果のより正確な解釈を可能にすると期待されています。抗菌薬耐性検査においても、AIを活用した感受性検査プラットフォームが、より的を絞った抗生物質処方判断を支援し、公衆衛生上の課題への対応に貢献しています。

胸部X線の元画像と解析結果の比較。画像解析技術の進歩が診断支援に役立っています。
予防医療と健康意識の向上
健康意識の高まりにより、予防医療や健康増進に関連する診断検査への需要が増加しています。例えば、がんリスク検査や認知症リスク検査、唾液による膵がんリスク評価など、さまざまなアプローチが注目されています。これらの検査は、病気の早期発見や生活習慣の見直しに役立つ可能性があります。

がんリスク検査と認知リスク検査の概要。対象年齢や評価部位が示されています。

唾液による膵がんリスク評価「SalivaChecker」の案内。早期発見の重要性が強調されています。
日本独自の規制環境
日本の規制環境も市場に影響を与えています。米国や欧州連合とは異なり、日本の医薬品医療機器等法では、体外診断薬は医薬品として法的に分類されています。これは、診断薬が薬剤師の監督下で管理されていた歴史的背景によるもので、新しい診断薬の承認プロセスに影響を与える可能性があります。
2026年4月には、日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)が、非小細胞肺がん患者におけるEGFR遺伝子変異のコンパニオン診断(特定の薬剤の効果や副作用を予測するために行われる診断)に関する評価報告書を公表しており、精密診断の枠組みにおける規制の継続的な改善がうかがえます。
主要企業の動向
市場の主要企業は、新たな診断技術や製品の開発に積極的に取り組んでいます。
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塩野義製薬株式会社: 2024年7月、抗菌薬耐性への懸念が高まる中、より的を絞った抗菌薬処方を支援するため、抗菌薬フェトロジャに対する細菌の感受性を評価する診断ツール「塩野義MICドライプレートセフィデロコル」を発売しました。
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ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社: 2025年2月、日本で「シーケンス・バイ・エクスパンション」技術を導入し、6時間未満で全ゲノム解析を可能にしました。
今後の市場見通し
日本の体外診断市場は、分子診断の継続的な進歩、検査プラットフォーム全体へのAI統合の深化、そして日本の構造的な人口動態上の変化が、市場の成長を牽引すると見込まれています。既に成熟した診断検査インフラを持つ日本において、これらの要因が持続的な市場拡大に貢献すると考えられます。
体外診断市場の詳細な情報については、以下のレポートが提供されています。
より詳しい情報や個別の診断については、医療機関や専門家にご相談ください。