予防・検診

滋賀県と日本ウェルビーイングコンソーシアムが連携、AI活用健康アプリで県民の健康増進を支援

事業実施の背景

日本は世界でも高齢化率が高い国の一つであり、医療・介護費の増加が課題となっています。このような状況の中、自治体におけるデータ活用型の健康施策へのニーズが高まっています。また、医療ビッグデータの利活用を支えるデータヘルス改革が進み、リアルワールドデータ(RWD:医療現場や日常生活で得られる実際のデータのこと)による施策評価や個別支援の重要性が増しています。

滋賀県は、男性の平均寿命が全国1位、女性が全国2位と、全国トップクラスの長寿県です。この長寿の要因として、健康な生活習慣を持つ人が多く、それを支える生活環境が整っていることが関連していると考えられています。県では「健康しが推進プラン」に基づき、デジタル技術を活用しながら「健康なまちづくり」を目指しています。

しかし、これまでの施策では「健康無関心層へのアプローチの難しさ」「保健師などの人的リソースの制約」「健康データの十分な活用不足」といった課題が浮き彫りになっていました。特に、企業の若手従業員には健康無関心層が多く、生活習慣の改善が遅れやすい傾向があることから、早期段階からの行動変容促進が重要な課題となっています。

事業の概要

本事業は、滋賀県が推進する「健康データとAI分析を活用した健康づくり推進事業」の一環として、日本ウェルビーイングコンソーシアムが連携して行われます。

具体的には、県を含む保険者協議会が提供・運営しているスマートフォン向け健康アプリケーション「BIWA-TEKU」を中心に、以下の取り組みが実施されます。事業実施期間は2026年10月から2027年3月末までを予定しており、事前公募に応募した滋賀県民1,500名が参加予定です。

  1. 複数アプリケーションで取得した健康データの統合・可視化
    「BIWA-TEKU」、「SaluDi」、「ANA Pocket」の3つの健康アプリケーションから収集される歩数、体重、血圧、睡眠時間、食事記録、移動データなど、さまざまな種類のPHR(Personal Health Record:個人の医療・健診・生活習慣のデータを一元的に管理し、本人が主体的に活用する仕組み)データが、AWS(アマゾンウェブ サービス)のクラウド上に統合・可視化され、より精緻なPHRデータが生成されます。

  2. AIによるパーソナライズされた健康行動のレコメンド
    統合されたPHRデータは、Anthropic社の基盤モデルClaudeを活用した「健康データ分析向けアシスタントAI」によって分析されます。分析結果に基づき、AIが生成した個人の健康状態に応じた健康行動のレコメンドや将来の罹患リスクが「BIWA-TEKU」に表示され、参加者の継続的な健康意識向上をサポートします。

  3. AIによる疾病発症リスク予測とインセンティブ活用
    「SaluDi」のAI疾病発症予測機能を利用し、健康診断結果などのPHRデータをもとに、将来の疾病発症リスクがAIによって予測されます。これにより、現在の状態だけでなく将来のリスクを可視化することで、参加者一人ひとりの健康意識向上や行動変容を支援します。
    なお、この疾病発症リスク予測は、健康診断情報と疾病罹患に関するビッグデータに基づき、類似の健康診断情報を持つ集団が過去にどのような病気に、どのような割合で罹患したかを計算した数値指標です。特定の個人の健康状態そのものを直接示すものではなく、医薬品医療機器等法に基づくプログラム医療機器ではありません。健康に関するご相談は、医療機関や専門家にご相談ください。

    また、健康無関心層へのアプローチとして、福岡県飯塚市での実証で効果が確認された「ANA Pocket」を活用したインセンティブ付与が導入されます。移動やチャレンジ達成によるポイント付与によって参加者の意欲を高め、外出や運動を促進します。

今後の展開

本事業の成果を踏まえ、滋賀県内全域への展開や、市町・企業・保険者との共同利用モデルの確立が進められます。さらに他自治体への横展開も進め、データとAIを活用した持続可能な健康づくりモデルの社会実装を目指していく方針です。

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