心疾患患者の減塩に新たなアプローチ:栄養モニタリングサービス「Vivoo」の活用可能性を共同研究
大塚製薬と国立循環器病研究センターは、退院後の心疾患患者さんにおける減塩の行動変容を支援するため、栄養モニタリングサービス「Vivoo」を用いた共同研究を進めています。
2026年6月14日に開催された「第62回日本循環器病予防学会学術集会」では、この共同研究に関連し、ランチョンセミナー「心臓リハビリテーションにおける栄養指導と栄養モニタリングアプリの活用可能性について」が共催されました。

心臓リハビリテーションの多面的な役割
国立循環器病研究センター 循環器病リハビリテーション部 心血管リハビリテーション科 医長の村田誠先生は、心不全患者さんを支える心臓リハビリテーションの重要性について講演しました。
心不全患者さんは高齢化に伴い増加傾向にあり、退院後の死亡や再入院が課題とされています。心臓リハビリテーションは、運動療法に加えて、患者さんや家族への教育、栄養・食事指導、服薬指導、生活指導などを含む包括的なプログラムであり、医師、看護師、理学療法士、管理栄養士、薬剤師、公認心理師などが連携して継続的に患者さんを支援します。

ガイドラインでも強く推奨されている心臓リハビリテーションですが、参加率の低さや継続の難しさが課題として挙げられています。特に外来での継続的な自己管理において、栄養指導は重要な役割を担います。
心不全患者さんの減塩における新たな視点
村田先生は、心不全患者さんの減塩について、高血圧治療とは異なる慎重なアプローチが必要であると説明しました。
高血圧患者さんにとって減塩は血圧を下げる上で重要ですが、心不全患者さんへの厳格な減塩については、その効果を示す明確な研究結果がまだ十分に得られていないと指摘されています。実際、心不全診療ガイドラインでも、厳格な食塩摂取量の数値目標から「塩分の過剰摂取を控える」という表現に見直されました。
減塩は心臓への負担を軽減する効果が期待される一方で、食事量の減少や低栄養につながる可能性も指摘されています。特に高齢の心不全患者さんでは、低栄養がその後の経過に影響を及ぼすことがあるため、食欲や栄養状態を確認しながら、患者さん一人ひとりに合った方法を検討することが大切です。また、減塩を無理なく継続できるかという「アドヒアランス(治療の必要性を理解し、納得した上で実行・継続すること)」の視点も重要な課題とされています。
行動変容を促す「気づき」の重要性
無理なく減塩を続けるためには、どのような働きかけが必要なのでしょうか。村田先生らの以前の研究では、管理栄養士による減塩指導を受けた患者さんのうち、指導を通じて減塩の必要性に新たに気づいた患者さんで、栄養指導の効果がみられた可能性が示されました。このことから、情報を一方的に伝えるだけでなく、患者さん自身が現在の食生活に「気づく」ことが、行動を変えるきっかけとなる可能性が考えられます。
栄養モニタリングサービス「Vivoo」とは
共同研究で活用されている「Vivoo(ビブー)」は、尿を用いて食生活の傾向に関わる6項目(水分レベル、肉/野菜バランス、骨の健康にかかわるミネラル、食塩摂取量、ビタミンC、酸化ストレス)を手軽に測定できる栄養モニタリングサービスです。
専用の試験紙に尿をかけ、アプリで読み取ることで、結果をすぐに確認できます。測定結果に応じて、管理栄養士が監修したアドバイスが提供され、健康的な生活習慣をサポートするよう設計されています。

Vivooは18歳以上の健康な方を対象としており、栄養状態のモニタリングを目的に設計されています。特定の成分の慢性的な過剰・欠乏状態を評価するものではなく、疾病等の診断・治療・予防を目的としたサービスではありません。共同研究では、医療機関の管理のもと、心疾患患者さんを対象にVivooの活用可能性を探索的に検討しています。
Vivooの詳細情報については、https://www.otsuka-plus1.com/vivoo/をご覧ください。
「Vivoo」を用いた共同研究の進捗
大塚製薬と国立循環器病研究センターは、2025年11月に共同研究契約を締結し、心不全または高血圧症のある外来の心疾患患者さんを対象に、「Vivoo」を用いた減塩介入の効果を検討する探索的臨床試験を進めています。
現在、国立循環器病研究センターでは、外来心臓リハビリテーションの参加者を対象に、Vivooを週3回、8週間使用する単群介入研究を実施しており、1日の推定食塩摂取量や減塩への意欲などが使用前後でどのように変化するかを検証しています。患者さんは自宅でVivooを使用し、測定結果は管理栄養士との栄養相談などに活用されます。

今後の展望
心不全患者さんの減塩においては、塩分の過剰摂取を避けつつも、低栄養や継続の難しさといった課題にも目を向ける必要があります。患者さん自身の「気づき」が行動変容につながる重要な要素であるとされています。
Vivooによる栄養状態などの可視化が、患者さんが自身の食生活を振り返り、減塩に取り組むきっかけとなるのか、またその行動を無理なく続けることにつながるのか、大塚製薬と国立循環器病研究センターは共同研究を通じて探索的に検討を進めています。この取り組みが、心疾患患者さんの生活習慣改善に向けた新たなアプローチとなる可能性が期待されます。
心臓病や減塩に関する具体的なアドバイスについては、必ず医療機関や専門家にご相談ください。
大塚製薬の詳細は、https://www.otsuka.co.jpをご覧ください。