胃の粘膜が深く傷つく「胃潰瘍」とは
胃潰瘍とは、胃酸から胃を守る機能が低下し、自らの胃酸によって胃の壁が深く傷ついてしまう病気のことです。
胃の粘膜は通常、強力な胃酸から胃自身を守るための防御機能を持っています。しかし、何らかの原因でこの防御機能が弱まったり、胃酸の分泌が過剰になったりすると、バランスが崩れて胃の粘膜が深く傷つき、潰瘍が形成されます。これにより、痛みや出血などの症状が現れることがあります。
胃潰瘍の主な原因|ストレス以外の2大要因
胃潰瘍の主な原因は、主に「ヘリコバクター・ピロリ菌への感染」と「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の使用」の2つが大部分を占めるとされています。ストレスは間接的な要因となることがあります。
ヘリコバクター・ピロリ菌への感染
最も多い原因の一つが、ヘリコバクター・ピロリ菌への感染です。この菌が胃の粘膜に棲みつくと、慢性的な炎症を引き起こし、胃の防御機能を低下させることがあります。その結果、胃潰瘍ができやすくなり、長期間放置すると将来的な胃がんのリスクにもつながる可能性があると指摘されています。
鎮痛薬(NSAIDs)の長期服用
もう一つの大きな原因が、NSAIDsと呼ばれる痛み止め(ロキソプロフェンやアスピリンなど)の薬です。これらの薬は痛みを抑える一方で、胃粘膜を保護する成分の働きを弱めてしまうことがあるため、副作用として急性の胃潰瘍を引き起こす可能性があります。
ストレスが胃に影響すると言われる理由
ストレスだけで直接的に胃潰瘍が発症するケースはそれほど多くないと考えられていますが、強い精神的ストレスは自律神経の乱れを引き起こし、胃酸の分泌を過剰にしたり、胃の血流を悪くしたりすることがあります。これが既存の胃炎を悪化させ、潰瘍へと進行する要因の一つになる可能性はあります。
放置は危険!注意すべきサインと症状
胃潰瘍の症状は、みぞおちの痛みだけでなく、悪化すると吐血や下血(黒い便)を伴うことがあり、緊急の処置が必要になる場合もあります。以下のような症状が見られる場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
| 症状の程度 | 具体的なサイン・症状 | 疑われる状態 |
|---|---|---|
| 初期〜中期 | 食後のみぞおちの痛み、胃もたれ、胸やけ | 胃潰瘍、胃炎 |
| 進行(危険) | 吐血、真っ黒な便(タール便)が出る | 消化管からの出血 |
| 重症・緊急 | 激しい腹痛、意識が遠のく(貧血) | 胃穿孔(胃に穴が開く) |
特に、吐血や黒い便(タール便)、体重減少が見られる場合は、潰瘍が深くなり血管が破れている可能性や、胃がんなど他の重篤な病気が隠れている可能性もあるため、非常に注意が必要です。
胃潰瘍が疑われる場合の検査と治療法
胃潰瘍が疑われる場合、正確な診断のためには胃カメラによる直接の観察が不可欠です。原因に応じた薬物治療や、ピロリ菌の除菌治療が基本的な治療法となります。
胃カメラ(上部消化管内視鏡)による正確なチェック
症状だけでは他の病気と見分けがつかないため、正確な診断には胃カメラ(内視鏡)を用いた検査が必要です。医療機関では、内視鏡システムを用いて粘膜の状態や潰瘍の深さ、出血の有無を細部までチェックし、専門の医師が的確な診断を行います。
原因に合わせた薬物治療や治療法
治療としては、胃酸の分泌を抑える薬による内科的処置が基本となります。もしピロリ菌が陽性であれば、除菌治療(抗生物質の内服)が行われます。痛み止めが原因の場合は、その薬の休薬や変更が検討されることがあります。自己判断で市販薬を飲み続けるのではなく、専門の医療機関(消化器内科など)で正しい診断と治療を受けることが大切です。
胃潰瘍の再発を防ぐ生活習慣のポイント
薬物治療と並行して、胃に負担をかけない食生活や、禁煙などの生活習慣の見直しが再発予防につながります。日常生活で気をつけるべきポイントは以下の通りです。
-
暴飲暴食を避け、消化に良い食事を心がける
-
香辛料、過度なアルコール、カフェインの摂取を控える
-
禁煙に取り組む(喫煙は胃の血流を悪化させる可能性があるため)
-
十分な睡眠をとり、過度なストレスを溜めないよう努める
これらの予防策は、胃潰瘍の治療効果を高め、再発のリスクを低減するために重要です。
胃潰瘍についてよくある質問(FAQ)
Q. 胃潰瘍はストレスだけで起こりますか?
ストレスは胃の不調に影響することがありますが、胃潰瘍の主な原因はピロリ菌感染やNSAIDsの使用であると考えられています。症状が続く場合は、原因を確認するために医療機関を受診することが大切です。
Q. 胃潰瘍は自然に治りますか?
小さな傷で症状が改善する場合もありますが、原因が残っていると再発することがあります。自己判断で放置せず、必要に応じて検査を受け、専門家の指示に従うことが推奨されます。
Q. 胃潰瘍は胃がんになりますか?
胃潰瘍のすべてが胃がんになるわけではありません。しかし、胃潰瘍のように見える病変の中に胃がんが隠れていることがあるため、胃カメラによる確認が重要です。
Q. 胃が痛い場合、胃カメラは必要ですか?
症状や年齢、リスクによって判断されます。特に、痛みが続く、体重減少がある、黒い便が出る、貧血がある、40歳以上で症状があるといった場合は、胃カメラによる確認が推奨されます。
まとめ|胃の不調は自己判断せず専門医へ
「胃潰瘍の原因はストレス」と自己判断し、市販の胃薬だけで痛みをやり過ごしていると、症状が進行して思わぬ事態を招くことがあります。胃の不調が続く場合は、根本的な原因を見極めるための胃カメラ検査や専門的な診断を受けることが大切です。
日本橋人形町消化器・内視鏡クリニックでは、豊富な検査実績に基づき、患者一人ひとりに寄り添った検査と診察を提供しているとのことです。「病院へ行くべきか迷う」という段階でも、相談を検討してみてはいかがでしょうか。
お問い合わせ先:
-
日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック: https://ningyocho-naishikyo.jp/
-
問い合わせフォーム: https://media.ivry.jp/ningyocho-naishikyo/inquiry/1/new/
教えてくれた先生
石岡 充彬(いしおか みつあき)先生
日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック院長。医学博士。秋田大学で消化器内科全般を経験し、専門医資格および医学博士号を取得。がん研有明病院の内視鏡診療部にて内視鏡診療の経験を積み、人工知能(AI)を活用した胃がんのリアルタイム診断システムを世界で初めて報告。2024年7月に日本橋人形町消化器・内視鏡クリニックを開院し、初診から内視鏡検査・結果説明・治療までの一貫した診療を提供しています。