内科・生活習慣

日本の一般用医薬品(OTC医薬品)市場、2035年には54.7億米ドル規模に拡大予測:高齢化とセルフケア需要が成長を牽引

市場成長を支える主要な要因

市場の成長を牽引する主な要因として、以下の点が挙げられています。

  • 高齢化の進展: 日本では高齢化が進み、軽度の疼痛、胃腸の不調、皮膚症状などを日常的に抱える方が増えています。病院に毎回行かずに使える鎮痛薬、胃腸薬、ビタミン・ミネラルなどのセルフケア関連製品への需要が高まりやすいと考えられます。

  • セルフケア需要の増加: 軽度の症状に対して医療機関を受診せず、自分で対処したいというニーズが強まっています。OTC医薬品(医師の処方箋なしで購入できる医薬品)の利用は、受診の手間を減らし、必要な時にすぐにケアを開始できる点で評価されています。

  • 処方薬からOTCへのスイッチ促進(Rx-to-OTCスイッチ): 医療用として実績のある成分がOTC医薬品として転用される動きが市場の高機能化を促しています。例えば、2025年6月には、日本で初めて処方薬からOTCへスイッチされたプロトンポンプ阻害薬(PPI:胃酸の分泌を抑える薬)であるEisaiの「Pariet S」が発売され、胃痛や胸やけに対して薬局で購入できる選択肢が広がったとされています。これにより、消費者が自宅で管理できる症状の範囲が広がる可能性があります。

  • オンライン販売の拡大: 若年層を中心に、医薬品やサプリメントをオンラインで購入することへの抵抗が少なく、価格比較や自宅配送の利便性が利用を促しています。今後はオンライン販売と薬剤師による相談を組み合わせたモデルが重要になると予測されています。

  • 規制改革による販売チャネルの多様化: 2025年5月には、店舗に薬剤師が常駐していなくても一定のOTC医薬品をコンビニエンスストアで販売できるようにする法改正が成立したとレポートでは指摘されています。購入者はオンラインで薬剤師の相談を受け、確認証を取得した上で購入する仕組みで、2027年春頃の導入が見込まれています。これにより、薬局が少ない地域や営業時間外の購入ニーズに対応し、OTC医薬品へのアクセスが大きく改善する可能性がある一方で、安全性を維持するためのオンライン相談、本人確認、販売管理などの仕組みが重要になります。

製品タイプ別の動向と市場の展望

製品タイプ別では、歴史的には風邪・咳薬が市場を主導していましたが、今後は鎮痛薬が最大のカテゴリーになると予測されています。頭痛、筋肉痛、関節痛など幅広い症状に使われ、高齢者を含め日常的な需要が大きいことが背景にあります。消化器・腸管関連薬においても、スイッチOTCの増加により、より作用機序が高度な製品が増え、セルフケアの範囲が広がる可能性が指摘されています。

日本のOTC医薬品市場は、単なる一般用医薬品の販売市場から、デジタル相談と規制改革を組み合わせ、消費者が軽度の健康問題をより主体的に管理する「セルフメディケーション基盤」へと発展していくと考えられます。セルフメディケーション(自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること)の推進は、医療費や医療従事者の負担を抑えつつ、国民が健康を維持するための重要な手段の一つとなるでしょう。

OTC医薬品の利用にあたっては、自身の症状や体質に合った選択が重要です。ご不明な点がある場合や症状が改善しない場合は、必ず医療機関や薬剤師にご相談ください。

本調査レポートの詳細については、以下よりお問い合わせいただけます。

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