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体外診断(IVD)の日本市場、2035年には77.0億米ドル規模に拡大予測 – 高齢化と個別化医療が成長を牽引

体外診断(IVD)とは

体外診断(IVD:In Vitro Diagnostics)とは、血液、尿、組織など人体から採取した検体(サンプル)を体外で分析し、疾患の診断、健康状態のモニタリング、治療方針の決定に利用する検査を指します。この市場の成長は、高齢化による診断需要の増加、慢性疾患や感染症の負担拡大、個別化医療の進展、分子診断の普及、さらにはAI統合型検査や在宅・ポイントオブケア(POC)検査の拡大などが主な要因とされています。

市場成長の背景と注目される技術

日本では高齢者人口の増加に伴い、糖尿病、がん、心血管疾患、腎疾患といった長期管理が必要な疾患が増加しています。これにより、早期診断と定期的な検査の重要性が高まっています。

感染症診断技術の高度化

市場成長を支える要素の一つとして、感染症診断技術の高度化が挙げられます。2024年7月には、Shionogiが「Shionogi MIC Dry Plate Cefiderocol」を国内で発売しました。これは、グラム陰性菌感染症治療薬であるFetrojaに対する細菌の感受性を評価するための検査製品で、適切な抗菌薬選択を支援することを目的としています。抗菌薬耐性(AMR)対策において、感染の有無だけでなく、どの薬剤が有効かを迅速に判定する検査は、IVD市場の高付加価値化につながると考えられます。

がん診断の進展

がん診断も重要な成長領域です。2023年6月には、Toray Industriesが膵がん診断を補助する「Toray APOA2-iTQ」について、厚生労働省から製造販売承認を取得しました。この製品は、APOA2の2種類のアイソフォームを測定する日本初のIVDキットとされており、早期発見が難しい膵がんへの新しい診断手段として注目されています。

分子診断の重要性

技術別では、分子診断が特に高い成長性を示す分野として挙げられます。分子診断には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、等温核酸増幅技術(INAAT)、ハイブリダイゼーション、DNA診断、マイクロアレイなどが含まれ、感染症病原体の検出、がん遺伝子解析、薬剤反応性の予測などに利用されます。個別化医療(患者一人ひとりの遺伝子情報や病状に合わせて最適な治療法を選択する医療)が進むにつれて、分子レベルでの特徴把握が必要となるため、分子診断の重要性は高まると考えられます。PCRは、従来の培養検査と比較して短時間で特定の遺伝子配列を検出できるため、迅速な治療判断が求められる臨床現場で価値が高いとされています。

製品・サービスとエンドユーザーの動向

IVD市場は、製品・サービス別では試薬・キット、機器、ソフトウェア・サービスに分類されます。検査機器だけでなく、日々消費される試薬やキットが継続的な収益源となります。また、検査装置から得られる大量のデータを解析・診断支援に利用するソフトウェア・サービスの重要性も高まっています。

エンドユーザー別では、病院や診断センターが引き続き主要な利用者ですが、今後はポイントオブケア(POC)検査の伸びが重要になると予測されています。POC検査は、患者の近くで短時間に結果を得られるため、救急、外来、診療所、介護施設などで有用です。さらに、在宅診断も成長テーマとなっており、高齢者や慢性疾患患者の負担軽減に貢献することが期待されます。AI統合型診断も市場を変える要因となる可能性を秘めています。

競争環境

IVD市場の主要企業としては、Roche、Bio-Rad Laboratories、bioMérieux、Abbott、Sysmex、Thermo Fisher Scientific、QIAGEN、Quidel、Danaherなどが挙げられています。これらの企業は、幅広い診断領域で検査薬や機器を提供し、市場を牽引しています。

まとめ

日本の体外診断(IVD)市場は、2035年に向けて、高齢化と慢性疾患・感染症の診断需要を基盤としつつ、分子診断、がん早期診断、POC検査、在宅検査、AI解析といった新しい技術領域が加わり、さらに発展していくと考えられます。市場の成長は、単純な検査件数の増加だけでなく、1検査当たりの情報量と臨床価値が高まることによっても支えられるとされています。従来の「異常か正常か」を判定する検査から、病原体の薬剤感受性、がんの分子特性、薬剤反応性まで判断する精密診断へと進むことで、市場は高付加価値化していくでしょう。

体外診断に関する詳しい情報や、ご自身の健康状態については、医療機関や専門家にご相談ください。

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