「退院させる」から「退院後の暮らしにつなぐ」へ
医療機関における患者支援は、病気の治療や退院に向けた準備が中心となることが一般的です。しかし、埼玉県鴻巣市にある医療法人社団鴻愛会 こうのす共生病院では、「退院させる」だけでなく、「退院後の暮らしにつなぐ」という視点での支援を重視しています。この取り組みの中心となるのが、「コミナス(コミュニティナース)」の活動です。
患者さんの「自分で買い物に行きたい」を支える
ある患者さんは、退院後に「自分で買い物に行きたい」という希望を持っていました。しかし、バスでの通院やエスカレーターの利用に不安を感じていたといいます。そこでコミナスは、患者さんの退院後の生活を具体的にイメージし、エスカレーターやバスの利用練習に同行しました。さらに、移動スーパーなど地域の資源と患者さんをつなぐ支援も行われました。
コミナスは、すべての患者さんに一律に関わる支援ではありません。限られた人員の中で、一人ひとりの状況や希望を丁寧に聞き取り、必要な患者さんに継続して関わります。何気ない会話を重ねることで、患者さんが本当に困っていることや望んでいることを知り、退院後の暮らしを具体的に考える支援を行っています。

「最近どうですか?」から始まるコミナスの関わり
コミナスは、地域住民との信頼関係を築きながら、その人らしい暮らしを支えるコミュニティナーシングの取り組みです。特徴は、特別な面談だけでなく、日常の何気ない会話から患者さんの不安や希望を見つける点にあります。
「最近どうですか?」といった会話の中から、医師や看護師には話していなかった心配事をコミナスに打ち明けるケースもあります。そこで得られた患者さんの言葉をきっかけに、退院後の暮らしを具体的に検討し、必要な支援や地域とのつながりを提供しています。こうした関わりは、本人の価値観や希望を知り、意思決定を支えるACP(Advance Care Planning:人生の最終段階における医療やケアについて、患者が家族や医療者と繰り返し話し合い、意思決定を支援するプロセス)・ALP(Advance Life Planning:ACPの考え方をさらに広げ、人生全般にわたる生き方や価値観、希望を具体的に話し合い、計画していくこと)の考え方とも関連しています。

病院の「おせっかい」を仕事にする
こうのす共生病院では、患者さんや地域の方々の小さな困りごとや「こうしたい」という思いに気づき、必要な支援につなげる「おせっかい」を、一時的な活動で終わらせず、病院の中で継続して実践できる仕組みとして整えてきました。
コミナスの取り組みは、2024年7月に30名の職員が導入研修を受講し、同年8月から月8時間を業務としてソーシャル活動を開始したことから始まっています。その後、活動を積み重ねる中で、現在は専従職員4名を配置し、研修を受けた職員による活動も継続しています。病棟での患者さんとの関わりに加え、地域での活動や医療・介護関係者との連携へと、コミナスの実践は広がっています。
「ちょっと気になる」「誰かに聞いてみたい」といった小さな気づきをそのままにせず、患者さんの希望や困りごとを知るきっかけとして、必要な支援や地域とのつながりへつなぐ。これが、こうのす共生病院がコミナスで取り組んでいることです。

カマチグループ「むすびプロジェクト」での紹介
こうのす共生病院のコミナスの取り組みは、外部からも注目を集めています。2026年4月には、カマチグループの関係者5名が同院を訪問し、院内でのコミナス活動だけでなく、実際に退院後の患者宅を訪問するフィールドワークも見学しました。
この視察を経て、カマチグループが推進する「むすびプロジェクト」から研修会への登壇依頼があり、2026年8月6日の第7回研修会で、こうのす共生病院におけるコミナスの実践が紹介されました。鴻巣で培われてきた「おせっかい」の精神が、法人の枠を超えて共有される機会となりました。

鴻巣で始めた実践を、次の地域へ
こうのす共生病院では、これまで鴻巣で実践してきたコミナスの取り組みを整理し、他地域でも共有できる「こうのす共生病院コミナス実装モデル」として体系化していくことを目指しています。病院内での患者さんとの関わりだけでなく、地域住民とのつながりや地域の協力パートナーとの連携など、これまでの実践を整理し、実践できる形へと発展させていく考えです。
「退院したら終わり」ではなく、「退院後の暮らしにつなぐ」。そのために、病院からもう一歩、地域へ踏み出すこうのす共生病院は、これからもコミナスの実践を続けていきます。
Social Goodプロジェクトと地域連携
こうのす共生病院が取り組む「Social Goodプロジェクト」は、医療・福祉の枠を超えて地域の孤立を防ぐことを目的としています。主な活動として、コミュニティナースによる伴走支援、地域交流拠点「こうのすえん」の運営、地域住民との対話の場「井戸端会議」などを行っており、病院を地域コミュニティの拠点として機能させる新しいモデルを目指しています。
Social Goodプロジェクトについて詳しくはこちらをご覧ください:
https://kouaikai.net/sgpj/
こうのす共生病院では、病院での治療だけでなく、退院後の暮らしまで見据えた支援に取り組んでおり、訪問診療、訪問リハビリ、訪問マッサージに加え、2026年8月からは訪問看護ステーション「WADACHI(わだち)」を開設し、在宅での生活を支えるサービスとの連携も進めています。
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公式サイト:https://kouaikai.jp/
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Social Goodプロジェクトページ:https://kouaikai.net/sgpj/
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メール:info@kouaikai.jp
電話:048-541-1131
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