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核医学用放射性医薬品の世界市場、2032年には約197億ドル規模に成長予測

核医学用放射性医薬品市場の現状と将来展望

LP Informationが発表したリサーチレポートによると、世界の核医学用放射性医薬品市場は、2026年の推定118.73億ドルから、2032年には約197.04億ドルに達する見込みです。2026年から2032年までの年平均成長率は約8.81%と予測されており、特に診断用核医学と治療用核医学のセグメントがこの成長を牽引すると考えられています。

核医学用放射性医薬品とは、特定の臓器、代謝経路、または分子標的に体内で集積する放射性核種(放射線を出す原子)を組み合わせた医薬品のことです。これらは、PET(陽電子放出断層撮影)やSPECT(単一光子放出コンピューター断層撮影)といった画像診断による機能・分子イメージング、あるいはα線やβ線を用いた標的組織の治療に利用されます。

核医学用放射性医薬品の役割

核医学用放射性医薬品の主な機能には、病変の検出や病期判定、臓器機能と代謝の評価、治療効果判定と再発モニタリング、そして標的放射性核種治療があります。また、診断と治療を一体化する「セラノスティクス」という概念も普及しつつあり、患者選択から治療、フォローアップまでを一貫して行うことが期待されています。

これらの医薬品は、がん、循環器疾患、神経変性疾患、内分泌疾患、骨格領域など、多岐にわたる疾患の診断と治療に応用されています。

市場成長を支える要因と今後の展望

世界核医学用放射性医薬品市場の成長予測2026 ~ 2032

市場の成長は、需要と供給の両面から支えられています。

需要面では、

  • 世界的ながん負担の増加

  • PET/SPECT設備の高度化

  • PSMAやSSTRといった分子標的の普及

  • セラノスティクスの定着

  • 神経・循環器トレーサーの拡大

  • 治療薬の前治療ラインおよび追加適応への展開

などが挙げられます。

供給面では、

  • 主要企業によるルテチウム177(Lu-177)などの重要核種の生産能力への投資

  • 独自のリガンド・キレート技術の開発

  • 無菌GMP(医薬品製造管理および品質管理基準)製造の強化

  • 地域放射性薬局の整備

  • 患者別線量配送システムの導入

  • 各国での承認取得

が進められています。

市場は現在、汎用診断薬中心から、診断トレーサーの高機能化と標的治療の急拡大が同時に進行する段階へと移行しており、治療用製品、疾患特異的PET薬、アジア太平洋地域でのインフラ整備、地域供給網の高密度化が主要な成長要因となるでしょう。

競争環境と主要企業

2025年 上位5社の売上合計シェア 約63.25% 代表的な企業 各層の競争ロジック

2025年における世界の核医学用放射性医薬品市場では、上位5社の売上合計が約63.25%を占めており、市場集中度は中〜高水準にあると分析されています。競争の軸は細分市場によって異なり、グローバルな核種調達力や独自の放射性リガンド治療、大規模な放射性薬局ネットワークを持つ企業が第1グループを形成しています。一方、地域生産拠点や特定の核種ポートフォリオ、画像診断装置との相乗効果を強みとする企業が第2グループを構成しています。

新規参入企業は、アルファ線核種、次世代標的、線量計算ソフトウェア、専門CDMO(医薬品開発製造受託機関)、地域線量供給といった分野に注力しています。

将来の競争において、核種供給、標的分子、臨床エビデンス、適合製造、ラストワンマイル配送といった統合的な能力が重要になると考えられます。業界再編は、M&A(企業の合併・買収)、ライセンス契約、製造枠予約、共同開発、病院ネットワーク提携によって促進されると予測されています。

代表的な企業としては、Novartis、Cardinal Health、Lantheus、Curium、China Isotope & Radiation、GE HealthCare、Bracco、Bayer、Siemens Healthineers、Jubilant Pharmova、Dongchengなどが挙げられます。

用途別分類と核種別の特徴

用途別分類 診断用放射性医薬品 治療用放射性医薬品 核種別分類 (主要放射性核種と特徴)

用途別に見ると、診断用放射性医薬品が現在の最大セグメントです。これにはテクネチウム99m(Tc-99m)SPECT製剤やフッ素18(F-18)PETトレーサーなどが含まれ、がんの病期判定、心筋血流評価、神経変性疾患の診断などに広く用いられています。

一方、治療用放射性医薬品は、甲状腺疾患向けのヨウ素131(I-131)や、PSMA(前立腺特異的膜抗原)やソマトスタチン受容体を標的とするLu-177製剤、拡大中のα線核種治療から構成されます。治療用製品は今後、より速い成長が予測されており、LP Informationの初期調査では、世界売上比率が2025年の約43.57%から2032年には約48.71%へ上昇する見込みです。

主要な放射性核種とその特徴は以下の通りです。

  • フッ素18(F-18): 成熟したPET供給網を有し、疾患特異的トレーサーの拡張余地が大きいとされています。

  • ルテチウム177(Lu-177): 標的がん治療の推進により、高成長を牽引する中核核種となるでしょう。

  • テクネチウム99m(Tc-99m): 広範な臨床基盤により、その重要性を維持しています。

  • ヨウ素131(I-131): 甲状腺の診断・治療において安定した需要があります。

地域別の市場動向

2025年の世界売上構成は、米州が約48.19%で最大、次いで欧州が約31.64%、アジア太平洋が約18.43%となっています。米州は、成熟したPET/SPECT装置基盤や商用放射性薬局網、革新的医薬品への高い支払能力を持つ主要な上市・拡大地域です。欧州は核医学の臨床体制や研究ネットワークが強い一方、国境を越える輸送や国別償還制度の違いが課題となることがあります。

アジア太平洋地域は、2032年には約20.86%へ上昇する見通しで、中国、日本、韓国、オーストラリア、東南アジアにおける核医学部門の整備、装置更新、現地承認、国内供給網の強化が成長を支えると考えられます。

今後の課題と展望

核医学用放射性医薬品の開発と供給には、医薬品品質システム、放射線安全、核物質許可、危険物輸送、医療機関の使用基準を同時に満たす必要があり、高い参入障壁が存在します。主な課題としては、一部核種が少数の原子炉や専門施設に依存すること、生産と患者予約が強く連動すること、治療能力と専門人材の不足、高額な設備投資、償還や病院予算による導入速度の制約などが挙げられます。

今後数年間は、セラノスティクス、標的放射性核種治療、疾患特異的PETトレーサー、地域インフラの拡大が市場を牽引するでしょう。特に、PSMAやSSTRといった実証済みの標的は、より早期の治療ライン、併用療法、新しい腫瘍種へ展開すると期待されています。また、アクチニウム225(Ac-225)などのα核種、抗体・ペプチド担体、二重標的分子、個別化線量学が重要な研究方向となる見込みです。

AI(人工知能)による画像定量、患者スケジューリング、核種減衰管理、配送経路最適化、線量追跡なども、生産網と臨床網を結びつける重要な技術となるでしょう。国際がん研究機関(IARC)は、2022年のデータに基づき世界の新規がん症例を約2,000万例と推計し、2050年には年間約3,500万例に達すると予測しており、腫瘍核医学の長期的な需要を支える要因となるでしょう。

この分野の最新情報や市場動向についてさらに詳しく知りたい方は、以下のレポートをご参照ください。

不明な点やご自身の健康に関する具体的な相談については、必ず医療機関・専門家にご相談ください。

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