乳児血管腫とは
乳児血管腫は、生後1〜3ヶ月で急速に増殖し、その後数年かけて自然に退縮する特徴があります。しかし、約40%の症例では退縮後も瘢痕や皮膚のたるみが残存する可能性があります。
主な治療法には、内服薬の「プロプラノロール内服療法」と、レーザーを用いる「パルス色素レーザー治療」があります。これらはいずれも保険適用されており、自己負担3割で治療が可能です。
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プロプラノロール内服療法: β遮断薬であるプロプラノロールを内服する治療法で、血管腫の増殖抑制と退縮促進に効果が期待されます。2016年に日本で保険適用となり、乳児血管腫の第一選択治療の一つです。通常、生後5週〜5ヶ月の増殖期に開始し、6ヶ月〜1年間継続します。
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パルス色素レーザー治療: 血管に選択的に吸収されるレーザー光を照射し、血管腫を縮小させる治療法です。表在型の乳児血管腫に有効とされ、保険適用により3ヶ月に1回の頻度で繰り返し照射が可能です。
専門医の臨床経験に基づく治療法の比較を以下に示します。
| 比較項目 | プロプラノロール内服 | パルス色素レーザー | 経過観察 |
|---|---|---|---|
| 適応 | 中等度〜重度の血管腫 | 表在型・軽度〜中等度 | ごく軽度のもの |
| 治療開始時期 | 生後5週〜5ヶ月 | 生後1ヶ月〜 | なし |
| 治療期間 | 6ヶ月〜1年 | 3〜6ヶ月ごとに複数回 | 5〜7年 |
| 改善率 | 80〜90% | 70〜80% | 60%(瘢痕残存40%) |
| 保険適用 | あり(3割負担) | あり(3割負担) | なし |
| 費用目安(3割負担) | 月額約3,000〜5,000円 | 1回約5,000〜10,000円 | 0円 |
| 副作用・リスク | 徐脈・低血糖(要モニタリング) | 一時的な発赤・色素沈着 | 瘢痕・機能障害リスク |
調査概要
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調査対象: 乳児血管腫(いちご状血管腫)の治療経験を持つ子どもの保護者(0〜10歳の子どもを持つ20〜50代の男女)
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調査期間: 2026年7月27日〜8月5日
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調査方法: インターネット調査
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調査対象人数: 300名
調査結果
医師からの最初の説明内容

調査の結果、過半数以上の保護者(61.7%)が医師から「自然に消えるので経過観察を」という説明のみを受け、早期治療の選択肢が十分に提示されていない実態が浮き彫りになりました。治療の選択肢を複数提示された保護者は12.7%にとどまっています。
治療開始時期の分布

日本皮膚科学会が推奨する「増殖期である生後3ヶ月以内の治療開始」を達成できたのは、全体の23%に過ぎませんでした。約半数(48.7%)が生後6ヶ月以降の開始または経過観察のみとなっており、早期治療の機会を逃している現状が明らかになりました。治療開始時期が生後3ヶ月以内の場合、改善率は85.7%に達する一方、6ヶ月以降では62.4%に低下することが示されています。
治療開始が遅れた主な理由

治療開始が遅れた、または治療をしなかった主な理由として、「自然に消えると信じていた」が最多の42%を占めました。また、18.7%の保護者が「治療が保険適用と知らなかった」ために治療を躊躇しており、情報不足が顕著であることが示されています。
保険適用の認知度

乳児血管腫の治療が保険適用であることを事前に知っていた保護者は32%のみでした。54%の保護者が保険適用を知らなかったと回答しており、費用面の不安から治療を見送るケースを減らすためにも、正確な保険適用情報の周知が求められます。
治療満足度と後悔の有無

「もっと早く治療すればよかった」と後悔を感じている保護者は合計67.3%(治療したが遅かった38.0%+経過観察で後悔29.3%)に達しました。一方、早期治療で満足している層は21.3%と明確な満足度を示しており、治療開始時期の重要性が裏付けられています。
調査のまとめ
本調査により、乳児血管腫に対する保護者の認識と実際の治療実態には大きなギャップがあることが明らかになりました。多くの保護者が「自然に消える」という説明のみを受け、推奨される生後3ヶ月以内に治療を開始できた保護者は少ない状況です。その結果、多くの保護者が「もっと早く治療すればよかった」という後悔を抱えています。また、プロプラノロール内服やレーザー治療が保険適用であることの認知度も低いことが示されました。
乳児血管腫は確かに自然退縮する可能性はありますが、増殖期に適切な治療を行うことで、瘢痕や機能障害を予防できる場合があります。気になる症状がある場合は、早期に専門医療機関を受診し、治療の選択肢について正確な情報を得ることが重要です。
専門医からのコメント
アイシークリニックの髙桑康太医師は、「乳児血管腫の『自然に消える』という説明は完全な誤りではありませんが、重要な情報が省略されています。確かに血管腫自体は5〜7歳頃までに退縮しますが、約40%の症例で瘢痕、皮膚のたるみ、色素異常などが残存します。特に顔面、口唇、眼瞼周囲の血管腫は、早期治療により後遺症を最小限に抑えることが可能です」と述べています。
乳児血管腫の治療において最も重要なのは、治療開始のタイミングです。血管腫は生後1〜3ヶ月で急速に増殖期を迎え、その後退縮期に入ります。プロプラノロール内服療法は、この増殖期に開始することで効果が期待されます。2016年に保険適用となったヘマンジオルシロップは、ステロイド療法に比べて安全性・有効性ともに優れており、現在の第一選択治療の一つとなっています。
パルス色素レーザー治療は、表在型の血管腫や、プロプラノロールで十分な効果が得られない残存病変に有効です。プロプラノロールとレーザーを組み合わせた治療も広く行われています。
日本皮膚科学会の「血管腫・血管奇形診療ガイドライン2022」では、機能障害のリスクがある部位(眼瞼、口唇、鼻、外耳道など)、潰瘍形成のリスクがある症例、急速に増大する症例については、早期治療が強く勧められています。また、美容的な観点からも、顔面の血管腫は早期治療により後遺症を最小限に抑えられる可能性が示されています。
早期受診が推奨される乳児血管腫のタイプ
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眼瞼、口唇、鼻、外耳道など機能障害のリスクがある部位
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顔面中央部など目立つ位置にある血管腫
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急速に増大している血管腫(週単位で大きくなる)
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潰瘍を形成している、または出血を繰り返す血管腫
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5個以上の多発性血管腫(内臓血管腫の精査が必要となる場合があります)
治療を検討する際に確認すべきポイント
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血管腫の正確な診断(血管奇形との鑑別が重要です)
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プロプラノロール内服の適応と副作用管理体制
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レーザー治療の適応と治療計画
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保険適用の範囲と自己負担額の確認
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治療開始時期と予想される治療期間
よくある質問(Q&A)
Q1. 乳児血管腫(いちご状あざ)は本当に自然に消えますか?
A. 血管腫自体は5〜7歳頃までに自然退縮しますが、約40%の症例で瘢痕や皮膚のたるみが残るとされています。完全にきれいに消えるとは限りません。本調査でも、経過観察のみで後悔している保護者が29.3%に上りました。特に大きな血管腫や顔面に発生した血管腫は、退縮後も瘢痕、毛細血管拡張、色素異常が残りやすいため、早期治療が推奨されます。
Q2. 乳児血管腫の治療はいつから始めるべきですか?
A. 生後1〜3ヶ月の増殖期に治療を開始することで、最も高い効果が期待できると考えられています。プロプラノロール内服療法は生後5週から開始可能であり、増殖期に開始することで血管腫の成長を抑制し、早期退縮を促します。本調査では、生後3ヶ月以内に治療を開始した群の満足度が最も高く、6ヶ月以降に開始した群では「もっと早く始めればよかった」との声が多く聞かれました。気になる血管腫があれば、生後1〜2ヶ月の段階で専門医療機関への受診をお勧めします。
Q3. 乳児血管腫の治療は保険適用されますか?費用はどのくらいですか?
A. プロプラノロール内服療法、パルス色素レーザー治療ともに保険適用され、3割負担で治療が可能です。2016年以降、ヘマンジオルシロップ(プロプラノロール製剤)が保険適用となり、月額約3,000〜5,000円(3割負担)で治療を受けられます。パルス色素レーザーも保険適用で、1回あたり約5,000〜10,000円(3割負担)です。本調査では54%の保護者が保険適用を知らなかったと回答しており、費用面での心配から治療を見送る必要がないことを示唆しています。
Q4. プロプラノロール内服とレーザー治療、どちらを選ぶべきですか?
A. 血管腫の大きさ・深さ・部位により最適な治療法は異なり、併用療法が有効な場合もあります。中等度〜重度の血管腫や深在型にはプロプラノロール内服が第一選択となり、改善率は80〜90%とされています。表在型や軽度の血管腫、プロプラノロール終了後の残存病変にはパルス色素レーザーが有効です。顔面の大きな血管腫では、両者を併用することでより良い結果が得られることが多いです。専門医療機関で正確な診断を受けた上で、最適な治療計画を立てることが重要です。詳しくは医療機関・専門家にご相談ください。
Q5. 乳児にプロプラノロールを内服させても安全ですか?副作用はありますか?
A. 適切な管理下では安全性の高い治療法ですが、導入時には入院または慎重なモニタリングが必要です。プロプラノロールはβ遮断薬であるため、徐脈、低血糖、低血圧、気管支痙攣などの副作用リスクがあります。そのため、導入時は入院管理または外来での慎重なモニタリングが行われます。日本皮膚科学会ガイドラインでは、経験豊富な施設での治療開始が推奨されています。適切な管理下であれば重篤な副作用は稀であり、世界的に広く使用されている治療法です。
放置のリスク
乳児血管腫を治療せずに放置した場合、以下のようなリスクが考えられます。
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治療開始の遅れにより、退縮後も瘢痕や皮膚のたるみが残存するリスクが約40%に上ります。
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眼瞼の血管腫は視機能発達に影響を及ぼし、弱視や斜視を引き起こす可能性があります。
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口唇や鼻の血管腫は哺乳障害や呼吸障害につながる場合があります。
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潰瘍を形成した血管腫は感染や出血のリスクが高まります。
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多発性血管腫の場合、肝臓など内臓にも血管腫が存在する可能性があるため、精密検査が必要となる場合があります。
受診の目安
以下のような場合は、専門医療機関への早期受診が推奨されます。
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赤いあざが生後2週間以降に出現し、徐々に盛り上がってきた場合
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顔面(特に眼瞼、口唇、鼻、耳の周囲)に血管腫がある場合
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血管腫が急速に大きくなっている場合(週単位での増大)
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血管腫から出血がある、または潰瘍を形成している場合
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複数の血管腫が体のあちこちに出現している場合
クリニック案内
アイシークリニックは、皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の経験を持つ監修医師が診療方針を監修し、プロプラノロール内服療法・パルス色素レーザー治療の両方に対応しています。新宿・渋谷・上野・池袋・東京・大宮の6院で土日祝日も診療しており、乳幼児連れでも受診しやすい環境を整備し、保険診療に対応しています。
アイシークリニック 各院
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アイシークリニック渋谷院:東京都渋谷区渋谷3-16-2 ニュー三水ビル5階
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