共同研究の概要
TOPPANは、これまで培ってきた高精度な画像解析・映像処理技術を応用し、手術用内視鏡の映像から毛細血管内の赤血球を認識できる血流解析技術を開発しました。この技術は、特別な機器や造影剤を用いることなく、通常の可視光映像(人間の目で認識できる光の波長を利用した映像)から赤血球の動きを画像認識することで、毛細血管の血流方向を解析できる点が特徴です。
本共同研究では、TOPPANが開発したこの血流解析技術の評価と検証を、東京科学大学 医歯学総合研究科 耳鼻咽喉科学分野の伊藤卓講師と共同で進めます。実際の手術映像を用いた血流解析の精度と安定性を確認し、外科手術における臨床的有用性を検証する計画です。将来的には、耳鼻咽喉科以外の診療科にも検証対象を広げていくことが予定されています。
TOPPANと東京科学大学は、この共同研究を通じて、術中出血や虚血(血の巡りが悪い状態)の早期発見に役立つ新たな医療画像技術の確立を目指し、医療の質の向上に貢献するとしています。

共同研究の背景
外科手術において、血流の状態をリアルタイムで把握することは、組織の健康状態や血行再建の成否を評価し、合併症のリスクを低減するために非常に重要です。しかし、現在の血流可視化技術には、特殊な薬剤や高額な装置が必要であったり、専門的な操作や画像解析の習熟が求められたりする課題があり、全ての手術や内視鏡診療に広く適用することが難しい現状があります。このため、中小規模の病院や研修施設でも導入可能な血流解析の診療支援ツールが求められていました。
TOPPANグループは、中期経営計画において「ヘルスケア」分野を戦略的注力事業の一つと位置づけており、新事業の創出に取り組んでいます。その一環として、印刷事業で培ったカラーマネジメント技術や高度な画像解析技術をヘルスケア領域に応用し、今回の血流解析技術開発に至りました。
東京科学大学病院は、多様な診療科と豊富な外科手術・内視鏡診療の実績を持ち、先進的な映像解析や手術支援技術の研究基盤を有しています。これにより、臨床現場の課題抽出から技術開発、そして社会実装までを一貫して行える体制が整っています。本共同研究は、両者の強みを活かし、幅広い手術領域への応用を見据えた開発・検証を進める方針です。
血流解析技術について
TOPPANが開発した血流解析技術は、カラーマネジメント技術による色補正などの画像解析技術とノウハウを応用したものです。製造現場での検査・品質管理で培われた高精度な画像ブレ補正技術や、画像間の差分を抽出する独自の分析アルゴリズムを医療用に再設計しています。これにより、通常の手術・内視鏡カメラで撮影された映像から、毛細血管中の赤血球の動きを正確に検出し、組織表面の微細な輝度変化(組織の明るさの変化)を可視化することで、血流の有無や変化を把握することが可能になります。
この技術の活用により、以下の効果が期待されます。
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追加機器・薬剤不要で、低コスト・高汎用性を実現: 既存のカメラ映像のみで血流解析ができるため、特別な装置や薬剤は不要です。これにより、幅広い診療科や中小規模病院でも導入しやすいと考えられます。
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微小血管の変化を可視化: 手術中の出血や虚血の早期発見を支援し、手術の安全性の向上に貢献する可能性があります。
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教育・記録への活用: 映像を定量的に評価できるため、手術中の教育や手技の標準化に役立つことが期待されます。
共同研究の内容と目標
共同研究では、まず血流解析技術の性能、具体的には血流の可視化の精度や視認性を確認し、ノイズ除去技術の検証を行います。次に、東京科学大学病院が提供する実際の手術や検査の映像を用いて、血流解析技術の視認性、画像処理速度、医師の満足度などを評価し、臨床実装に向けた課題を抽出し、外科手術における診療支援への有用性を検証します。当初は耳鼻咽喉科の手術や検査の画像で検証し、段階的に他診療科での検証も進める予定です。
共同研究の実施期間は2028年3月までを予定しています。TOPPANは血流解析技術の提供と精度・安定性の検証を、東京科学大学は検証用手術映像の提供、実証環境の構築・提供、技術検証における評価・助言を担当します。
TOPPANは、東京科学大学との共同研究を通じて、術中の安全性向上と医療の質の格差解消を目指し、多角的な検証を行います。2028年度までには、耳鼻咽喉科領域における新たな医療支援ツールとしての事業化を目指すとしています。
詳細については、TOPPANホールディングスのニュースリリースもご確認ください。